鳥取の新しい加熱式かに駅弁! 美味しさの秘密「かにトロ」とは?:鳥取「蟹蟹丼」(1500円)
プシュー! でホカホカ。鳥取名物のカニを使った新しい加熱式駅弁が登場しました。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
定番となった紐を引き抜いて蒸気で温める「加熱式駅弁」。飛行機には持ち込むことができませんから、鉄道旅ならではのお楽しみとも云えます。とくに冬は冷え切った体でも、アツアツの駅弁をいただけば、身も心も温まるというもの。カニが旬を迎えている鳥取では、今シーズンもカニを使った新しい加熱式駅弁が登場していました。
京都と鳥取の間を東海道・山陽本線、智頭急行線、因美線経由で結んでいる特急列車「スーパーはくと」。一部の列車は、山陰本線・倉吉まで直通します。大阪と鳥取の間は約2時間半。途中、姫路停車の山陽新幹線「のぞみ」と接続、首都圏・中京圏と鳥取の間の連絡も担います。振子機能を活かし、カーブでも車体を傾けながら高速で走行できる車両も大きな魅力です。
雪の降る季節は駅のホームで列車を待っていると、寒さが身にしみるもの。その意味でも、冬はひもを引き抜いて蒸気で温める「加熱式駅弁」が本領を発揮する季節だと感じます。雪がしっかり降る鳥取の冬の味覚と言えば、やっぱりかに! 2021年8月に発売された鳥取駅弁・アベ鳥取堂の新しい加熱式駅弁は、その名も「蟹蟹丼」(1500円)と言います。名前に“蟹蟹”と、2つ「蟹」を重ねているのは、何か理由があるのでしょうか。
【おしながき】
- 茶飯
- かにのほぐし身
- ゆでかに爪
- かにトロ(かに身のたたき 筍和え)
茶飯にベニズワイガニのほぐし身と爪が載って、これに“かにトロ”が添えられています。“かにトロ”とは部位ではなく、旨味がギュッと詰まったかにの脂身を手間をかけて取り出し、丁寧にたたいたもの。これを筍と和えることで旨味が増し、アクセントをつけていただくと、より箸が進みます。アベ鳥取堂によると、「蟹蟹丼」と蟹を2つ重ねたネーミングは2つのかにの味が楽しめる上、いままでの駅弁以上にかにの味が濃く、より楽しんでもらえるからとのこと。“かにトロ”のひと手間が、本当に嬉しいですね。
山陰本線・鳥取〜米子間を中心に運行されてきた快速「とっとりライナー」ですが、3月のダイヤ改正では、残念ながら朝の一部列車を除いて、前後の普通列車と統合されたり、運行を取りやめる列車もあります。地方を旅していると、よく「ココは車がないと生活できないから」という言葉を耳にします。でも、年齢を重ねれば誰もが車に乗れなくなる時期がやって来ます。1人1人が地域の公共交通のあり方を真剣に考えていく必要がありそうです。
(初出:2022年2月16日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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