「こんなでかい製品誰が買うの? どこに置くの?」――。
新商品の開発会議で、そんな声が相次ぎました。幅は約75センチ、重さは約15.6キロ。確かに、置き場所が気になる大きさです。
ドウシシャが発表した大型ラジカセ「ORION SCR-B10」(9万8780円)。スマートフォンで音楽を聴ける今、なぜ、これほど大きなラジカセを開発したのでしょうか。

「当時もっと大きいやつがあったでしょ?」
SCR-B10は、1980年代に発売されていた超大型ラジカセのサイズを再現した製品。ドウシシャが展開する「俺たちの青春ラジカセ」シリーズでは、最も大きなモデルです。
2024年4月には、大型ラジカセ「SCR-B9」を発売。それでも、当時を知る人からは「ダブルカセットが欲しい」「当時もっと大きいやつがあったでしょ?」という声が寄せられました。


開発担当の金谷衛さんは、さまざまな声を受け、さらに大きなラジカセの開発に乗り出しました。
「どうせ開発するなら、1980年代当時でも異色なサイズであった超大型製品を、と考えました」
デートの準備は、カセット作りから
原点には、金谷さん自身の憧れもありました。自身の青春時代(1970~80年代)に欲しかったのは、クルマとオーディオ。しかし、どちらも簡単に手が届くものではありませんでした。


当時の思い出を聞くと、こんな答えが返ってきました。
「まずはクルマを購入して、そのクルマで彼女とデートするときに聴く。オリジナルカセットテープづくりは生活のマストでした」
どの曲を、どんな順番で入れるのか。デートの前には、曲選びに頭を悩ませる時間もあったようです。

今回、カセットを2本入れられるダブルカセットデッキを搭載したのも、思い出のテープを再び楽しんでもらうため。経年劣化したテープを、再生できるうちに新しいテープへダビングする需要があると考えています。

