三国志演義のテーゼ「三國志II」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(4/4 ページ)
「三國志II」の戦略を現代に生かす
ゲームには出てこないが、三国志演義にはまだまだ数多くの策略が使われている。
王允が董卓と呂布を離間させた美人の計。周瑜が黄蓋をわざと鞭打って、黄蓋の偽りの投降を曹操に信じ込ませた苦肉の計。曹操が漢の献帝を招き入れ、皇帝の名のもとに諸国に命令を発した「借屍還魂」。司馬懿がぼけたふりをして曹爽を油断させた「仮痴」の計等々。
先ほど、「三国志の策略は、実戦で役に立つこともある」と書いたが、策略を生かせる場は、何も戦場だけとは限らない。
孫子の兵法は現在、ビジネス書として読まれることも多いが、歴史書(または演義)に書かれた計略も、ビジネスの戦略・戦術に置き換えることができるだろう。
社員の引き抜きや独立は日常茶飯事だし、企業同士の提携や合併も、広い意味での同盟策といえるかもしれない。
イメージキャラクターに昔のアイドルを起用したり、昔のゲームを復刻して発売したりというのも、曹操が献帝を利用したような「借屍還魂」の応用とも考えられる。
また、ここではとても書けないような、容赦ないライバル蹴落とし策もいくつか考えられるだろう。
ただし「三國志II」では、あまり無茶なことをしすぎると“信用度”が下がる。信用度が低いと、武将の引き抜きが成功しにくくなったり、他国との交渉がうまくいかなかったりする。
同盟国を攻撃したり、同盟国がどこかに派遣した使者をつかまえたり、同盟国と共同で他国に攻め込む約束をしながら、部隊を派遣しなかったりすると、信用度が下がる。また、他国の武将を引き抜いたり、他国に計略を仕掛けて失敗したりすると、その国から敵意を持たれる。
現代でも、企業の信用度が低いと、なかなか商品が売れないし、マスメディアでも良くは書かれない。うまく立ち回ってイメージを良くすることが必要だ。
ゲーム業界では、世間一般に対するイメージアップ戦略を苦手とする企業が、やや多いように感じられる。
(プロモーションで意味もなく芸能人を呼んでも、「借屍還魂」が成立するわけではない)。
同業他社のみならず、マスメディアもいわば“戦い”の相手。同盟すべきときは同盟し、そうでないときは攻撃に備えて準備を行なう。そして戦いを未然に防ぐ(あるいは戦いを有利に展開する)ためには、計略も辞さない心構えが必要ではないだろうか。
「三国志 人物事典」小出文彦監修・新紀元社
「兵法三十六計」守屋洋著・三笠書房
「全訳武経七書3 六韜・三略」守屋洋編著・プレジデント社
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