“幻のタクシー”で話題の「コーヒーごはん」を8割くらい再現してみた:ねとめし
残念ながら“本家”の缶コーヒーが手に入らないため、代わりの缶コーヒーを使ってみたところ……。
少し前にネット上で「幻のタクシー」が話題になった(関連記事)。幻のタクシーとは、運転手さんが乗客にお菓子や飲み物をくれる夢のようなタクシーのこと。お笑い芸人・麒麟の川島明さんが、幻のタクシーに乗車したことを自身のTwitterに投稿し、瞬く間にそのタクシーの存在が広く知られるようになった。
だが、注目を集めたのはそれだけではない。川島さんに缶コーヒーをくれた運転手さんは、別れ際にもう1本缶コーヒーを手渡し、「コーヒーごはん」なるレシピを教えてくれたという。水の代わりにコーヒーで米を炊き、ごま塩をかけていただくシンプルなレシピ。
運転手さんから聞いたレシピを再現した川島さんは、Twitterで「どんなコーヒーでもいいわけでは決してないらしい。運転手さんがあらゆるコーヒーを試した結果先ほど画像を載せたコーヒーしか美味しく炊き上がらないとの事」(原文ママ)とコメントしている。なんだか都市伝説のような話だが、今回はこの「コーヒーごはん」を再現してみることにした。
本家本元は生産終了 「似たコーヒー」を探しにスーパーへ
が、ここでいきなり悲報。ねとらぼ編集部がメーカーに問い合わせたところ、上記の缶コーヒー(カフェグレコ エスプレッソ ブラック無糖)は現在生産終了しており、店頭に置かれているものしか残っていないという。Amazon.co.jpでも売り切れている。さすが幻のタクシー。
それにしても、川島さんも「めちゃくちゃうまい」とツイートしているように、いかにも絶品そうなコーヒーごはん、なんとかほかのコーヒーで再現できないものか。そこで上記のコーヒーの特徴をメーカーに尋ねたところ、下記の情報を得ることができた。
- ブラック
- 無糖
- 豆は深煎りのエスプレッソロースト
- 苦みと香りが際立つフルボディテイスト
近所のスーパーで「この要素にもっとも近いコーヒーを……」と探した結果、筆者がピンときたのはサントリーの「BLACK BOSS」だ。深煎り/雑味なし/無糖/ブラックなど、陳列していたコーヒーの中で群を抜いて“適役”だと感じた。
BLACK BOSSを2本買って帰り、Togetterまとめ「【幻のタクシー】缶コーヒーで炊いたご飯が美味しいらしい」を参考に挑戦してみた。果たしておいしくできあがるだろうか。
炊き上がりまでコーヒー臭の充満に耐える覚悟はあるか?
材料は前出のBLACK BOSSと米、後からかけるごま塩、以上。作り方は説明するまでもなく、研いだ米にコーヒーを注ぎ、炊飯器にセットすればおしまい。あえて補足すると、筆者は「たくさん炊いてマズく仕上がったら困る……」と考えるチキン体質なので、「お試し」的な量の1.5合を炊きあげることにした。コーヒーは1.5缶使う。
途中、室内にコーヒーをぐつぐつ煮立てたような匂いが充満した。部屋中を香ばしさが占拠する。個室の引き戸を閉めていても、隣接したキッチンから匂いが侵入し「やっぱりコーヒーだな」と感じるくらい強烈。
コーヒー好きなのでまったく問題はなく、むしろ心地よさを感じるほどだったが、ここまで室内にコーヒー臭が漂う経験は初めてなので新鮮だ。
しばらくすると、炊き上がりを告げるメロディーが流れ、ドキドキしながらキッチンへ急ぐ。炊飯器のフタをオープン! 酸味が強めな湯気が鼻をぐわんと直撃し、一瞬のけぞったが、この香りは好きだ。食欲をそそる香り。
高貴な和の味わいに舌鼓、でもキリッとした渋みは足りないかも
さっそくいただきます! 川島さんが運転手さんから教わったように、ごまと塩(我が家には白ごましかなかったため、白ごまと塩をふりかけている)をパラパラと振った。口の中に入れると香ばしく「ほうじ茶で炊いたような」との感想には共感だ。
特筆すべきは、お手頃価格のブラックコーヒーで炊いたとは思えない上質な味わい。やさしい和の味がする。京都で和食を食べているようだ。米のひとつひとつはモチッではなく、パラッとした固めな食感。水分量としてはいつもと同じだが、質感は不思議なくらい異なっている。
しかし、川島さんが「後味で渋みがキリッとしめてくれる」といった感想を残していたが、それは筆者の舌では得られなかった。やはり最後の複雑な味わいは、例のコーヒーでしか再現できないのだろう。残念! とは言え、上品な和定食につく炊き込みごはんのようで、普通においしい。
100%完全に再現、というのは当然不可能だったわけだが、代替の缶コーヒーを使って8割方再現できることがわかった。運よく幻のタクシーをつかまえて、運転手さんから「幻のコーヒー」をもらうのが理想だが、それは悲しきかな奇跡に近い。みなさんも筆者のように「似たコーヒー」を探して試してみてはいかがだろうか。
(池田園子)
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