ピエール瀧容疑者逮捕、波紋はゲーム業界にも 前例なき「出荷自粛」「声優交代」の決断はどのように下されたのか
両メーカーにコメントを求めました。
3月12日に、俳優でテクノバンド「電気グルーヴ」のメンバーであるピエール瀧容疑者が麻薬取締法違反容疑で逮捕されたことに対して、映画・TV・ゲームなど、各界への波紋が広がっています。
ゲームでは、セガの「JUDGE EYES(ジャッジアイズ):死神の遺言」が出荷とダウンロード販売を当面自粛すると発表。またスクウェア・エニックスは、「キングダム ハーツIII」のゲーム内に登場するディズニーキャラクター“オラフ”の吹き替え版声優の交代を発表しました。こうした対応はいずれも、これまでのゲーム業界ではほとんど見られなかった、かなり異例なものです。
ねとらぼ編集部では、こうした異例の対応を決断するに至った経緯について、2社にコメントを求めました。
出演者の問題による自粛は、ゲームでは極めて異例の出来事
そもそも実在する有名人の名前をゲームタイトルに冠したり、ゲーム内にキャラクターとして登場するといったタイアップは、ファミコンの時代からずっと行われてきたことです。しかし、ゲームに出演した有名人の逮捕や不祥事に関して、今回のように販売自粛などが行われた例は、これまでにほとんどありません。
例えば、ビートたけしを全面的に起用したファミリーコンピュータ用ソフト「たけしの挑戦状」は1986年12月10日に発売されていますが、その前日の12月9日未明には、たけし本人が写真週刊誌「フライデー」編集部を襲撃する事件が発生。しかしゲーム自体は予定通り発売されています。現在とは感覚が違うのかもしれませんが、この経緯には改めて驚きます。
もう少し最近の例を挙げると、2015年よりサービスが行われているスマートフォンゲームアプリ「燃えろ!!プロ野球 ホームラン競争SP」の場合、ある元野球選手がゲームに登場する予定でしたが、配信直前に薬物所持で逮捕されたことにより、出演が取りやめになっています。とはいえこちらも、急きょキャラクターを差し替えることで、ゲーム自体は無事配信にこぎつけることができたといいます。
今回の状況にもっとも近そうなのは、2018年1月にリマスター版が発売された「龍が如く4 伝説を継ぐもの」の対応でしょう。同作では4人いる主人公の1人、谷村正義を俳優の成宮寛貴さんが演じていましたが、PS4版では別のキャラクターに差し替えられています。
販売元のセガゲームスによれば、差し替えの理由は「リマスター版の製作にあたって谷村の一部セリフを再収録する必要が生じたため」とのこと。しかし、当時成宮さんが既に芸能界から引退していたため、谷村のCGモデルとボイスキャスティングを変更することで対応したといいます。ただ、これもあくまで「リマスター版での変更」であり、オリジナルであるPS3版では特に変更などは行われていません。
こうして振り返ってみると、今回の瀧容疑者の逮捕における「ジャッジアイズ」と「キングダム ハーツIII」の対応がいかに異例であったか、またいかに(ゲーム業界としては)前例のないものであったかがうかがえます。
「ジャッジアイズ」の販売が再開される可能性は?
前述の通り、セガゲームスは今回の逮捕を受けて、「ジャッジアイズ」のパッケージ版出荷とダウンロード版の販売を当面自粛すると発表しています。今回の対応についてセガゲームスにコメントを求めたところ、以下の回答がありました。
――今回の「自粛」決定に至ったのはどのような理由からでしょうか。
セガゲームス:「薬物使用の疑いでの逮捕」という社会的影響と、また本作が未成年でも購入できること(CEROレーティング「D」)を考慮し、社内の議論を経て、当面の間出荷および新規ダウンロード販売を自粛するということで決定いたしました。
――既存のユーザーへの影響はありますか。
セガゲームス:既にご購入くださった方については、現在遊んでくださっているお客様も大勢いらっしゃるため、キャラクターは発売時のまま、追加ダウンロードコンテンツについては引き続きご利用いただける状態となっています。
――今後アップデートや廉価版発売、リマスター時などにキャラクターを差し替える予定などはありますか。
セガゲームス:今後については今のところ決まっておりません。
――ネット上では一連の自粛の流れに対し、批判的な声も一部であがっています。ユーザーからそのような声は届いていますか?
セガゲームス:多様な観点からさまざまな議論が交わされていることについては経営陣も含めて認識しています。今後については捜査の経過や、みなさまのご意見に耳を傾けながら、慎重に検討していきたいと思っています。
――販売再開の予定は?
セガゲームス:現在のところまだ決まっておりません。
「キングダム ハーツIII」の声優交代に伴う“アップデート”はどうなる?
一方、「キングダム ハーツIII」の場合は販売自粛にまでは至っていないものの、瀧容疑者が吹き替えを担当していたキャラクター「オラフ」の声優交代と、それに伴うゲーム本編のアップデートを実施すると発表しています。このような対応に至った経緯について、スクウェア・エニックスにコメントを求めたところ、以下の回答がありました。
スクウェア・エニックス:3月14日に発表の通り、今回「キングダム ハーツIII」は、権利元のディズニー様とも協議の上、オラフ役の日本語版吹き替え声優の変更を決定し、今後ゲーム本編のアップデート配信の実施を予定しております。アップデートの内容詳細やスケジュールは、今後発表することになります。
両社の対応は是か非か
「ジャッジアイズ」の場合、単に「薬物使用の疑い」という社会的影響だけでなく、同作がCEROレーティング「D」、つまり未成年でも購入できたことが決断にあたって大きな理由の1つになったようです。販売再開など今後の対応についてはまだ決まっていないとのことですが、ひとまず「既に購入しているユーザーへの影響はない」という点が確認できたのは一安心と言えそうです。
一方、「キングダム ハーツIII」の声優交代については状況がやや複雑です。スクウェア・エニックスの回答によれば「権利元のディズニー様とも協議の上」で今回の対応を決めたとしており、背景には“版権モノ”ゆえの複雑な事情があったことがうかがえます。実際、ウォルト・ディズニー・ジャパンも今回の瀧容疑者の逮捕を受けて、「オラフ」の日本語版吹き替え声優の交代を発表しています。
もう1つ注目したいのは、この声優交代がゲーム本編の“アップデート”で行われるという点です。「ジャッジアイズ」の対応と違い、こちらは「既に購入したゲームの内容が変わってしまう」ためです。
完全にオフラインで遊ぶ場合を除けば、こうしたアップデートは“ほぼ必須”であり、場合によっては購入者が声優の変更を望んでいなくても、ゲーム機をインターネットに接続しただけでゲームが更新されてしまうこともあります。もしも購入した人の中に「あのオラフの声」を期待してゲームを購入した人がいた場合、今回の対応はゲームの価値を大きく損なうことになってしまいます。スクウェア・エニックスには併せて「アップデートしないことも可能か」「変更を望まない既存ユーザーに対し何らかの対応は考えているか」などの質問も送っていましたが、こちらは残念ながら回答を得ることはできませんでした。
いずれにしても、セガゲームスもスクウェア・エニックスもユーザーと同じように「騒動に巻き込まれた」立場であり、両社の対応を軽々に責めることはできません。今回の瀧容疑者の逮捕は、ゲームとその出演者の関係について改めて考え直す大きな機会であり、ゲーム業界全体が今後よりよい方向へ進んでいくために、しっかりと議論を重ねていく必要がありそうです。
3月23日12時追記
欧米版「ジャッジアイズ」について、セガゲームスは3月22日、瀧容疑者のキャラクターを差し替えて発売すると発表しました(関連記事)
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本当に立派。セガ、PS4「JUDGE EYES:死神の遺言」の出荷およびDL販売を当面自粛 ピエール瀧容疑者の逮捕を受けて
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