社畜に効くのは「辛かったのじゃろ」「大変だったのじゃろう」と寄り添ってくれること アニメ「世話やきキツネの仙狐さん」11話(2/2 ページ)
» 2019年06月20日 00時00分 公開
[たまごまご,ねとらぼ]
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おまけ:絶好のお散歩日和じゃ
原作の第十六尾では、ちょうど今と同じ梅雨時期が描かれます。いやですね。社畜中野も相当しんどいようで、普段以上に毎日どんより。体調崩しがちな人じゃなくても、この時期は憂鬱になるってもんです。この作品、中野のきつい日々をいろいろ仙狐さんが世話して救っているものの、仕事が全く減らなくて社畜なままなのが、都合よくいかなくて妙に生々しい。
仙狐さんも家事がはかどらず、尻尾が荒れるため、難儀なのは間違いない様子。でも彼女は梅雨を楽しんでいます。
狐だから雨に隠れて歩く、とも言っていますが、仙狐さんは梅雨を別の切り口から見ての楽しみ方を発見しているように感じられます。
雨だからこそ、普段聞こえない音が聞こえる。見ていなかったものが見える。時間の流れが変わる。何百回も梅雨を経験してきたからかもしれません、世界の見方がプラスです。
この作品では珍しい、仙狐さんの完全一人称。この話を見てから改めて作品を見直してみると、なぜ彼女が中野の世話を焼き、甘やかそうとしているのかが見えてきます。
雨はいずれ止み、たまに晴れ間がすがすがしく訪れる。中野も憂鬱な顔で帰ってくるけれども、家に帰ってきて世話をした時に、喜び、尻尾に甘えてくる。
何がいい、悪いじゃない。仙狐さんは何かを変革しようとはしていません。ありのまま受け入れ、楽しみます。これがどれだけ難しいことか。
この回、中野と二人だから楽しい、ではなく一人で楽しんでいます。仙狐さんの器の大きさだけでなく、考え方の深みが感じられる回です。
(たまごまご)
<前回までのお話>
(C)2019 リムコロ/KADOKAWA/世話やきキツネの仙狐さん製作委員会
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