ひとりぼっちだったメイドさんに”家族”ができるまでを描いたマンガ、詰め込まれた「好き」と「エモ」が最高に心地よい(1/2 ページ)
2024年10月からテレビアニメ放送も予定されているしょたんさんのマンガ『君は冥土様。』を紹介します。
裏社会で孤独に生きてきた元殺し屋メイドが一人暮らしの高校生の下に「雇って欲しい」とやって来たら――小学館「サンデーうぇぶり」で2020年6月から連載されているしょたんさん(@DENTAN_san)のマンガ『君は冥土様。』が大きな注目を集めています。
強さに全振りし、ポンコツな一面ものぞかせる元殺し屋メイドが、普通の生活を送っていく中で人間らしい感情を芽生えさせていく同作は、絵柄の良さも相まって尊さのある物語。2024年10月からテレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation」でのテレビアニメ放送も発表された人気作となっています。
本記事では、マンガ本編を、しょたんさんへのインタビューと併せて掲載します。
『君は冥土様。』作品紹介
ある日突然、一人暮らしの高校生・横谷人好の家に「使用人として雇ってほしい」とやってきたメイドさん。黒髪で清廉、言葉使いも丁寧な美人メイドさんですが、唐突過ぎる目の前の展開に、人好はいぶかしみます。
とりあえず家に入れ話を聞くと、暗殺や監禁拷問などをたしなんできたと平然と口にするメイドさん。かわいすぎる見た目に反してヤバイやつがやってきた、怒らせないよう丁重にお断りして帰ってもらおうと恐れる人好に、お館様の紹介でここにやってきたのだと説明します。
聞けば、人好はお館様からみて「お館様の嫡子の奥様のおとこの次男のお宅に居候していた女性の孫」なのだとか。思ったよりも縁遠い関係性に、つい「いやそれ他人では?」と突っ込まずにはいられない人好。
ヤバイやつを怒らせないよう話題を変え、具体的に得意なことを聞き出そうとすると、それまで静かに座っていたメイドさんは、スカートの下に忍ばせていたナイフを取り出し木めがけてダイナミックに投てき! ドヤ顔全開で披露された技術を目にし、人好は本物がやってきたと確信するのでした。久々の投てき披露ではしゃいでしまうメイドさんが超かわいいです。
しかし、お館様のこともよく分からず、殺してほしいような人もいない人好は、「うちでは雇えない」とピシャリ。少しだけ悲しそうな表情を浮かべつつも、メイドさんはあっさりと身をひきその場を去ってしまうのでした。
その後、人好の言葉と、お館様とみられる人物から告げられた内容を頭の中で反すうしながら、街をあてもなく歩くメイドさん。どうやら、何かを満たすために人好の下を訪ねたようですが、それもかなわず、行く当てもなくなってしまいます。
そんなとき、目に映ったのは、付けていたアクセサリーが部屋に落ちていたと追いかけて届けてくれた人好の姿。車にひかれそうな人好をとっさに助けたとき、お館様の言葉の真意がつづられます。「その人たちなら、きっとお前の“家族”になってくれるはずだ」――と。
それまで人の命を奪うことを生業としていたメイドさんは、冷静沈着な表情から一転、初めての人命救助に動悸(どうき)が止まりません。そんな紅潮したメイドさんの表情に、人好は家に来るよう翻意するのでした。
こうして始まった元殺し屋のメイドさんと高校生の不思議な生活。たぐいまれなる殺しの才能を有し、人を殺すためだけに生まれたメイドさんは、家事などはまるで駄目。基本的にはクールで冷静沈着なメイドさんですが、人好との日常を過ごしていく中で、焦ったりしょげたり照れたり笑ったりする姿がすごくキュートです。
『君は冥土様。』作者・しょたんさんインタビュー
――― 本作制作のきっかけ、ヒントになったアイデアはございますか?
初めてのオリジナル同人誌の内容を決めている際に、伊坂幸太郎先生の「殺し屋」シリーズや、映画「RED」など、エンタメに振った殺し屋ものの作品を観ていたので「殺し屋が日常に溶け込もうとする話」という定番のテーマを基盤に、殺し屋の女性と言えば『ブラックラグーン』のロベルタが好きなので暗殺者のメイドさんを描こうと思いました。
当初、連載はもちろん商業誌に載ることを想定して描いていたわけではなく、初めてのオリジナル漫画ということもあり、女の子のキャラクターに「好き」と「エモ」を詰め込んだのが『君は冥土様。』の同人誌(第1話)になります。
――― 特に力を入れているポイント、こだわりを教えてください
キャラクターの表情を描く時は特に気を遣っています。
雪さんは特に、照れ顔はもちろん日常を過ごす表情、暗殺者としての表情、デフォルメや泣き顔など、新たに感情がアンロックされる度に新しい表情が見られるように工夫しています。
ストーリーとしては、とにかくシリアス・コメディー・ラブのバランスを意識して描いています。
――― 本作で、ご自身の中で気に入っているポイントは?
あげもち太郎を描いている時が作中で一番楽しいです。もちもちなので。
――― うれしかった読者からの反応・感想などありましたら、お教えいただけますと幸いです
A4程の大きさのボードに手書きのファンアートをいただいた時は特に感動しました。
こんな熱量で自分の作品を好きになってくださる方がいるんだな、と。とてもうれしかったです。
――― しっかりと作画されたメイド服、しかも元殺し屋という設定でアクションシーンもカッコいい……という点にこだわりを感じます
クラシカルなメイド服の「戦うメイド」だと、キャラクターが良くてもデザインとして埋もれてしまうかな、と思いましてスチームパンク要素を入れてキャラデザだけで目を引くようにしようとは考えていました。
ただ前述の通り、同人誌での一度きりの読み切り漫画を想定したデザインなので、衣服のリアリティーとしては多少問題があるかもしれません(笑)。でも今ではそれも雪さんらしさが出ていて良かったかな、と思います。
アクションシーンはとにかく「わかりやすく」を意識しているので、映画のように予備動作(キャラの目線やダッシュした時の足元など)はきちんと入れるよう心がけています。
――― 「ネームほぼなしでそのまま漫画描くことが多い」とのことですが、ストーリーなどはどのように考えられているのでしょうか?
私は頭の中で物語をしっかり組み立てるのがとても苦手なんです。かといってプロットを作る習慣もなくて(笑)。
同人誌を作る際もネーム無しで見開きごとにネームから仕上げまで完成させて、また次の見開きをネームから……を繰り返していました。自分の漫画を読みながら漫画を描いていく感覚です。
商業連載をする際は編集さんと今後の展開を相談するので、なるべくネームを出すようにしていますが、ネームが思いついてない部分は見開きごとに「雪さんが人好と◯◯する」「なんだかんだで仲直りする」「バトルでP数が増える気がするので予備ページ」「ハッピーエンド!」など、展開のメモだけで提出してしまいます(笑)。
たまにネームを出さずに作画を始めることもあります(良い作家は真似しないでね)。
それを許してくれる編集さんに感謝です ありがとうございます。
――― テレビアニメ化もおめでとうございます。最後に、読者へのメッセージをお願いします
長い休載を挟んでのアニメ化告知となりましたが、連載再開の時に暖かい言葉が迎えてくださった読者の皆さまには感謝です。
待っていてくださって本当にありがとうございます。
これから読んでいただける方も、是非応援していただければ幸いです。
関連記事
- 「あなたの余命はあと3000文字きっかりです」 まさかのシチュエーションで始まるオムニバスマンガの世界観が好物すぎる件
インタビューと併せてマンガ本編を掲載。 - 誰もが知るおとぎ話が「めでたし」となったその後は……? 「童話のアフターストーリー」を描いたマンガに「刺さりまくりました……」「最高に好み」
おとぎの国で役目を終えたモノを引き取る、とある兄弟の廃品回収物語。 - 最愛の人が残した臓器を巡る即席親子のロードムービーマンガが切ない 「読後の余韻が凄い」「つらいけどよかった」
先日完結した高村秀路さんのマンガ『うらうらひかる 津々に満つ』。とてもいい……。 - 「死んだら一片の鉱物になる」がただひたすらに美しい マンガ『鉱物願望シリーズ』が染み渡る優しさ
死んだ後に遺るものが、鉱物ならば――「生きている」今を味わってほしいマンガ。 - 事故死した御曹司がたどり着いた“最後の晩餐”を振る舞うお店 異色のグルメマンガ『冥天レストラン』が笑えて泣けておいしそうな大盛りストーリー
グルメ×ファンタジー×ヒューマンドラマな、コメディータッチのマンガ。 - 【マンガ】斬った人間の記憶が見える少年、“自分の師匠”を処刑して見た光景とは…… 『竜送りのイサギ』が和風ファンタジーな世界観の良作
「サンデーうぇぶり」で好評を博す和風ファンタジー。 - 過労死したOLが神に願った力とは…… “人間以外の生物に好かれる能力を持つ女の子”の異世界転生マンガが癒やされるかわいさ
もふもふ。 - 弱音を吐けない限界OLが泣いた“女子大生の一言” ダメなところを認めてもらえるうれしさを描いたマンガに「癒やされた」「人間の面白さが詰まってる」
分かる……。 - 誰からも愛されない“できない自分”の物語 マンガ『だめっ子みーちゃん』に「胸がギュッと締め付けられた」「考えさせられる」とネット上で反響
読むと心に突き刺さる読み切りマンガ。 - 事故死した息子夫婦のカフェを「オラたちでやるべな」 老夫婦の第二の人生を描いたマンガに「号泣」「親の声を聞きたくなった」と感動の嵐
2010年、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品になった『かへ』。 - “遊女の子どもの霊”を母のもとに連れて行くと…… 遊廓を舞台にさまざまな人間模様を描くマンガ『あおのたつき』が泣ける
浮世と冥土のはざまにある「鎮守の社」に迷い込んだ遊女を主人公とするストーリー。 - 絶滅危惧種になった人間の少女の結婚に、幼馴染のキメラ族は…… SNSで名作と話題のファンタジー漫画『リストルージュ』が切ない
「いろいろな人に読んでほしい!」「世界観も絵も表現も全て好き」の声。 - 最後の1ページでまさかのどんでん返し 異世界転生モノの流行を逆手に取ったマンガ『最強勇者パーティーは愛が知りたい』に「そうきたかァ〜」「最高の流れ」の声
一度読んでみてほしい話題作。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
-
60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
-
「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
-
皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
-
71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
-
真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
藤本美貴、晩ご飯に手料理7品 多忙でも野菜とお肉たっぷりで反響 「お疲れ様です」「凄く親近感」【2024年の弁当・料理まとめ】
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」