第10回:スコアアップ&劣勢挽回のチャンス! ゲームがますます楽しくなるボーナスステージなぜ、人はゲームにハマルのか?(4/4 ページ)

» 2011年06月06日 09時38分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

 お次は、1987年にUPLが発売したアーケードゲームの「忍者くん 阿修羅ノ章」。こちらは決まったステージごとに、マップが極端に狭くてなおかつ敵がほとんど出現しないボーナスステージが登場するようになっています。ここで制限時間内にゴール地点に到達すると、ボーナス得点に加えて主人公の忍者くんに新しい武器がプレゼントされる嬉しいご褒美があるので、プレイヤーのモチベーションをさらに高める効果があります。

 また、プレイヤーがもしクリアするのが難しいなと判断した場合は、スタート地点のすぐ近くにある鳥居に入って「あきらめる」を選択すると、ボーナス面をパスして次のステージと進めるという救済措置も用意されています。また途中で敵の攻撃を受けたり、制限時間がゼロになった場合は前述の「アイスクライマー」などとは違ってミスとみなされ、忍者くんのストックが減ってしまいます(このへんのシビアさはやはりアーケードゲームならではですね……)。


「忍者くん阿修羅ノ章」のボーナス面。ゴールできればボーナス点プラス武器のプレゼントがありますが、あきらめた場合は無論何ももらえません……
(C)UPL COMPANY LIMITED

 また、SNK(現:SNKプレイモア)が1992年に発売した対戦格闘ゲーム「龍虎の拳」には、主人公のリョウ・サカザキが超必殺技をマスターするためのボーナスステージ(その名もズバリの「超必殺技伝授」)が存在します。ここで指示されたとおりに複雑なコマンド入力に繰り返し成功すれば、ボーナス点とともに次のステージから強力な奥義を使って攻撃できる特典が得られます。


「龍虎の拳」では3種類のボーナスゲームをプレイヤーが任意に選択可能になっているのも大きな特徴のひとつです
※Wiiバーチャルコンソール版を使用
(C)2008 SNK PLAYMORE CORPORATION All rights reserved.
(C) D4 Enterprise,inc.

 このように、数多くのバリエーションが存在してプレイヤーを楽しませてくれるボーナスステージですが、時代が経過するごとにアーケードゲームを筆頭として目にする機会がどんどん減っていった感があります。理由は前述したように、プレイヤーがどんなに操作を誤ってもミスにならないサービスを提供すると、プレイ時間が必然的に延びて商売上の問題が生じるからです。また、家庭用ではRPGやMMO、あるいはソーシャルゲームのようにスコア表示が最初から存在しない作品が、昔に比べてはるかに多くなっていることも大きな要因でしょう。

 1991年にカプコンが発売した、対戦格闘ゲームの代名詞的な存在である「ストリートファイターII」シリーズは、シリーズの途中からボーナスステージが登場しなくなった好例です。「ストII」シリーズ初期の作品では、CPU戦において決まった人数を倒すごとにボーナスステージが登場するようになっていましたが、1993年に発売されたシリーズ第5弾の「スーパーストリートファイターIIX」からはボーナス面が姿を消してしまいました(※)。これはアーケードゲームであるがゆえのプレイ時間対策であることと、プレイヤーがハイスコアよりもプレイヤー同士で対戦したときの勝敗をより重要視するようになったため、その結果ボーナス面を入れておく必然性がなくなったことが原因ではないかと考えられます。

※筆者注:ただし、「ストリートファイターIII 2nd IMPACT」など、再びボーナス面が登場するようになったシリーズ作品も一部存在します。
「ストリートファイターII」では車、タル、ドラム缶を破壊する3種類のボーナス面がありましたが、途中のシリーズからはカットされることに……
※PS2用ソフト「カプコン クラシックス コレクション」を使用
(C)CAPCOM CO., LTD. 2005,2006
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 それでは、今回はここまで。また次回もお楽しみに!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「マリオブラザーズ」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ギャラガ」:PS用ソフト「ナムコミュージアムvol.1」、Wiiバーチャルコンソール
  • 「ジャイラス」:PS用ソフト「コナミ80'sアーケードギャラリー」
  • 「エクセリオン」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「アイスクライマー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「アーガス」:PS用ソフト「ジャレココレクション vol.1」
  • 「ムーンクレスタ」:PS2用ソフト「オレたちゲーセン族 ムーンクレスタ」
  • 「忍者くん 阿修羅ノ章」:Wiiバーチャルコンソール(※ファミコン版)
  • 「龍虎の拳」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ストリートファイターII」:PS2用ソフト「カプコン クラシックス コレクション」、PS用ソフト「カプコン ジェネレーション 〜第5集 格闘家たち〜」

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

 Twitterは「@m_shigihara」です。

(著者近況)

 3月の大地震以来もろもろ計画が狂いっ放しの日常が続きましたが、最近になって身辺がやっとこさで落ち着いてきました。仕事のほうも当コラムをはじめ、雑誌記事の執筆やゲーム開発のお手伝い等々、幸いにもほぼいつもどおりのスケジュールに戻りつつあります。

 もっとも、多くの親類や友人が被災地に住んでいる身としては、まだまだ心配の種は尽きないのですが。また何かチャリティ企画を考えてみようかな……。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/02/news008.jpg ジャングルのようだった庭が…… 12時間かけた掃除の成果に「感動的な変貌」「素晴らしい」と称賛の声
  2. /nl/articles/2405/10/news008.jpg なかなか体重が増えない保護子猫に高カロリーフードを与え続けたら…… 約1年半後“マッチョ猫”への変貌に驚きが止まらない
  3. /nl/articles/2405/11/news006.jpg 0歳赤ちゃん、ゲップ直後にママを見た瞬間…… かわいすぎる表情の変化に「きゃあああ」「たまらないですね!!」
  4. /nl/articles/2405/09/news132.jpg 【今日の計算】「4×2−6÷2」を計算せよ
  5. /nl/articles/2405/11/news007.jpg 犬の散歩中、知らないおじいさんに呼び止められ…… グッとくる一言に「最高」「お目が高い」と称賛の声が殺到
  6. /nl/articles/2405/11/news002.jpg 7歳娘、自作の“映画泥棒”コスで踊る姿が1000万再生 「いいね1つじゃ足りない!!!」「腹ちぎれそうなくらい笑った」クオリティーの高さに絶賛の声
  7. /nl/articles/2405/08/news177.jpg プログラミング言語で書かれた謎の広告→「分かる人」が見ると……? 粋なアイデアが「おしゃれ」と話題 東急に制作背景を聞いた
  8. /nl/articles/2405/03/news025.jpg 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  9. /nl/articles/2405/11/news019.jpg 「逆に天才」 画像編集AIでポテト付近のレシートを消してみたら…… 斜め上すぎる結果に「気が利いてて草」
  10. /nl/articles/2405/11/news012.jpg カナヘビを捕獲→リリースしたのに…… 友人の手の上でくつろぎはじめた謎の姿に5万いいね「何この羨ましい絵面」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評