飛騨・高山で1年間にたった4日しか販売されない「幻の駅弁」に出会った!:飛騨高山「まつりべんとう」(2000円)
1年でわずか4日間「高山祭」のときだけ販売されるレアな駅弁をご存じでしょうか? この幻の駅弁を求めて飛騨・高山を訪ねました。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
3年ぶりに通常開催された2022年の「春の高山祭」。初日はあいにくの雨に見舞われましたが、高山の街を歩くと、地元の皆さんの“お祭りを開催できる喜び”が至るところから感じられました。そんな高山には、1年でわずか4日間、「高山祭」のときだけ販売される駅弁があります。今回は久しぶりに、この「幻の駅弁」を求めて、飛騨・高山を訪ねました。
高山本線最長のトンネル・宮トンネルで、太平洋側と日本海側を分ける分水界を越えた特急「ひだ」号が雨の高山盆地に下りて来ました。この時間の「ひだ」号は名古屋始発と大阪始発の列車が併結して高山まで走り、一部の車両は飛騨古川まで足を伸ばします。春の「高山祭」の初日を迎えたこの日は、「ひだ」号では最長となる10両編成での運行。3年ぶりとなる「高山祭」の通常開催を、鉄道もお祝いしている感じがしますね。
高山盆地は、高山祭のころがちょうど桜の見ごろとなります。高山駅の隣・飛騨一ノ宮駅は桜の名所。駅構内の満開の桜が通過して行く「ひだ」号を見守ります。また、駅前には、根尾谷薄墨桜・荘川桜と並んで“岐阜三大桜”の1つに数えられる「臥龍桜」があります。この時期は、特急「ひだ」号の車内放送でもアナウンスされていて、車窓から咲き誇る様子が見えると、車内では歓声が上がりました。
高山駅から歩いて10分あまりの高山市中心部も桜が満開! 宮川に架かる赤い中橋が桜に映えます。高山市の観光課では、中橋袂の桜を基準に開花発表を行っているそう。毎年4月14日・15日に開催されている春の高山祭では、この中橋の桜と屋台曳き揃えとのコラボレーションが、1つの目玉ですが……。
残念ながら14日の「屋台曳き揃え」「御巡幸」「夜祭」については、天候不順のため中止。それでも一目豪華な屋台を見ようと、屋台蔵を回られている方も多かったようです。春の高山祭(山王祭)は、旧高山城下町南半分の氏神様である日枝神社の例祭。国の重要有形民俗文化財に指定された屋台12台が登場して、うち3台がからくり奉納を行っています。「高山祭の屋台行事」として、ユネスコ無形文化遺産にも登録されていますね。
過去2年、中止や大幅な縮小を余儀なくされてきた高山祭ですが、今年(2022年)、春の高山祭は、伝統文化を継承していくために神社と屋台組関係者、氏子の皆さんが、例年並みの規模で開催することを決断されました。初日は雨のため、静かな雰囲気となりましたが、それでも“祭りができる喜び”が街から溢れているように感じました。社会の“安全弁”とも言われるお祭り。改めて、私たちの暮らしになくてはならないものだと思います。
この高山祭の日だけ販売される駅弁が高山駅にあります。その名も「まつりべんとう」(2000円)。昭和42(1967)年の「春の高山祭」を機に発売した駅弁で、今年(2022年)、発売55周年を迎えました。以来、「春2日+秋2日=1年に4日」だけ販売される“幻の駅弁”として、地元の方やファンにはよく知られています。製造する金亀館によると、過去2年は地元向けに予約制で販売していたそうですが、今年は駅売りも復活しました。
55年前、この駅弁が発売されたころの高山には、祭に「呼びひき」という慣習があったそうです。これはお呼ばれされた人だけでなく、祭の日にたまたま訪れた人でも、その家の祭り料理を味わいながら、地酒を酌み交わしたというもの。その意味では「まつりべんとう」は、現代版の「呼びひき」と言ってもいい存在。高山祭の日に鉄道で高山を訪れた旅人を、駅弁屋さんの金亀館が、この日だけのご馳走駅弁でもてなして下さるというわけなんです。
【おしながき】
- 赤飯 ごま塩
- 鮭照り焼き
- 自家製厚焼き玉子
- 赤巻くずし
- 天ぷら(海老、牛蒡松明、たらの芽)
- 昆布巻
- ぜんまい煮しめ
- 煮物(こもとうふ、飛龍頭、竹の子、ふき、椎茸、海老)
- ほたるいか沖漬け
- 飛騨牛ローストビーフ 特製ソース付き
- 鯛のエスカベッシュ 蕗みそ添
- 赤かぶ甘酢漬け
高山祭の祝い膳の一端を味わえるように作られている「まつりべんとう」。祭料理の赤飯・こもどうふ・昆布巻き等が盛り付けられた楪子盛(ちゃつもり)を基本に、伝統的な海・山の幸がたっぷり詰め込まれています。加えて、ジュレ状の特製ソースがうまみを引き出す飛騨牛ローストビーフなども入っていて、時代に合わせたブラッシュアップも行われているのが特徴。伝統とトレンドが組み合わさった“ハイブリッド”駅弁と言うこともできましょう。
「ハイブリッド」と言えば、高山本線の特急「ひだ」には、ハイブリッド方式を採用した新型のHC85系車両の投入が予定されています。平成元(1989)年から活躍してきたキハ85系気動車も世代交代のとき。桜とのコラボレーションもいつまで見られるでしょうか。次回は秋となりますが、これから夏の間も、目が離せない高山本線の旅です。
(初出:2022年4月15日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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