ほぼ毎日カレー生活 無類のカレー好きが作った同人誌『カレーのぬりえ』でカレーと向き合う元司書みさきの同人誌レビューノート

「インドカレーとナンのセット」「あいがけスパイスカレー」など9皿分。

» 2023年05月07日 12時00分 公開
[みさきねとらぼ]
同人誌 本棚 図書館 司書 コミケ

 大型連休もそろそろ終盤。どこかにおでかけされたり、いつもと違うことにチャレンジされた方も多いのではないでしょうか。そして、その特別な連休を支えるために、いつもと変りなく……いえ、いつも以上にがんばって日常の業務をこなされた方もきっといらっしゃることでしょう。とにもかくにも、明日からを頑張るために肩の力を抜いて一息つきたい、そんなときにこの同人誌はいかがでしょうか。

今回紹介する同人誌

『カレーのぬりえ』A5 20ページ 表紙カラー・本文モノクロ

著者:咖哩なんぽ(KABO)


同人誌『カレーのぬりえ』 いいにおいがしてきそう!

メニューはカレーだけ。9皿分のぬりえが楽しめる

 こちらの同人誌はぬりえの本です。ぬりえにもさまざまなジャンルがありますが、このご本に載っているのはカレーだけ。「インドカレーとナンのセット」「あいがけスパイスカレー」など、1枚めくってカレー、もう1枚めくってカレー……と9皿分のカレーのぬりえを楽しむことができます。

同人誌『カレーのぬりえ』 こちらは「スリランカカレープレート」

カレーって何色だっけ? 自分の中のカレー観に挑む

 ご本の形は横長で中とじになっているので、ちゃんと開きやすく、塗りやすさが考慮されています。白い紙に黒だけで印刷されたカレーのイラストは、お米のシルエットが丸いか長いかまで分かる繊細さで、モノクロのままでも……と思うようなおしゃれな雰囲気。けれど、せっかくなので手触りのいい、ぬりえにも耐えられそうな頼もしい紙の厚みにも背中を押され、いざ色付け開始、とページと向かい合って、はた、動きが止まりました。カレーって何色でしたっけ……?

 例えば「インドカレーとナンのセット」のインドカレーってどんな色なんでしょうか。「玉子のせ黒カレー」は黒いのは分かりますが、どの程度の黒さなんでしょう? 「スリランカカレープレート」に至っては、ごはんらしきものの上に乗っているこれは何かしら、と構成の読み解きから試みました。ああ、自分の中のカレー情報がなんて薄いのでしょう。知っている方ならば、すぐ色えんぴつを持って取り掛かれそうなのに! 9皿のカレーがバリエーションに富んでいるだけに、白黒で提示されるイラストは自分の中のカレー観が問われているかのようです。

参考作品もあり。おいしいを想像してリラックス

 ぬりえのもとになっているカレーは作者さんが食べてきたカレーのようです。イラストにはシンプルにタイトルが添えられているだけでほかに文字情報はありません。記載はされていませんが、バラエティー豊かなカレーたちは、きっとどれも食べた日も、場所も違うことでしょう。白い画面を眺めながら、おいしそうなカレーってどんな色なのかな? もしかしてスパイスを入れると色が変わるかな? と味や匂いも想像しているのは、知らない土地の知らないお店で注文した料理が出てくるのを待っているかのような、少しそわそわした、けれどわくわくした気持ちに通じるようでした。

 そして実はご本にはQRコードが掲載されており、Webページに行くとぬりえの見本と、付け合わせなどの短い説明文を追加で読むことができます。すごく迷ったら参考に見本を見てみたり、塗り終わったあとで謎だった部分と答え合わせをしてみるもよし。最初から“正解”を横に載せるのではなく、紙の本とインターネットを行ったり来たりしながら楽しめる仕組みになっているのは今の時代を生かした面白い本づくりですね。

 良く親しんでいるはずのメニューの多彩さに気付いて、頭の中で組み合わせや味を想像してみる。それはおいしいもののことを考えるリラックスした穏やかな時間を作り出してくれるようなご本です。

同人誌『カレーのぬりえ』 どんな色、塗り方にしようか楽しみですね

サークル情報

サークル名:毎日カレー団

Twitter:@Anpo_Ekupo

Instagram:@kabo_sketch

入手できる場所:BOOTH


今週の余談

 カレーってご家庭のやさしい味から、エキゾチックさ、からさへの挑戦……と多種多様ですね。でもどれも元気の出るメニューのように思うんですよ。

みさき紹介文

 公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。

関連キーワード

同人誌 | 図書館 | コミケ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」