おせち料理にも入る“ちょろぎ”って何者? 好きが高じまくり栽培まで始めた同人誌が気になる:元司書みさきの同人誌レビューノート
そもそもちょろぎという名前を初めて聞くという人も多いかも?
日差しが強くなり、いよいよ夏本番。通りすがりのおうちの庭先に、プラスチックの鉢に植えられた朝顔がすくすく育っているのを見掛けました。学校がお休みの間、自宅で朝顔を育てて観察日記なんてつけているのかもしれませんね。今回の同人誌は、栽培も味わいも、いろんな方向から好きな植物について探った一冊です。
今回紹介する同人誌
『ちょろぎ本』A5 12ページ 表紙・本文カラー
著者:ちょろぎ屋
花言葉は「楽しい人生」「驚き」。ちょろぎを知っていますか?
こちらのご本は、シソ科の植物の根っこを食用にする「ちょろぎ」についてまとめた同人誌です。冒頭では“おせち料理の赤いグルグルこと、謎の食材『ちょろぎ』”とはじまり、お正月に縁起物として見掛けることが多いあの食べ物の、各地の呼び名、特徴、ちょろぎをモチーフにされた作品の紹介など、ちょろぎにまつわるいろいろな物事が10ページにわたって紹介されています。
装丁はいわゆるコピー本と呼ばれる、紙を半分に折ってホチキスでとめた作りです。本文は全てカラーで、ノート風に罫線(けいせん)が入っていたり、ところどころにちょろぎのマスコットキャラクターが配置されているのと相まって、カラフルでほんわかした雰囲気になっています。
見たり食べたり育てたり……ちょろぎを求めて
内容は基本的なちょろぎの情報に加えて、おせち以外に料理してみたことや、自宅のプランターで育て始めた栽培日記、ちょろぎが出てくる小説やエッセイについてなども載っているのですが、これが意外とさっぱりしたまとめ方なんです。
調べたことはついついあれもこれもと載せたくなりそうなものですが、このご本はひとつひとつのまとめ方がコンパクト。例えばちょろぎの料理についてのページには「チョロギのアヒージョ」「チョロギチップス」と名前が挙がっていますがレシピの掲載はありません。
しかしこのコンパクトさ、決して悪くなく、むしろとっつきやすさにつながっているように思います。情報量がみっちりなタイプではありませんが、その分文字は大きくて写真もいろいろ載っていて、読み手を身構えさせません。優しい作りは簡易的というより、1年に一度会うかどうかの遠い存在だったちょろぎが、少し身近になるような親しみやすさを感じます。
まだ1歩目だけど、ただちょろぎが好きな一心、それを形にする面白さ
ところで、このちょろぎ本を最後まで読んでも、作者さんがどういうお気持ちで同人誌を作られたのか分かりません。それどころか作者さんが何者かということすら不明です。けれどそれにもかかわらず、読んでいるうちに「これはたぶんちょろぎをお好きになり、その良さを伝えたいという勢いあって作られたご本なのではないか……」というムードがじわじわとこちらに染み出してくるのです。
それは、ちょろぎを育てておられる栽培日誌からも伺えます。3月の植え付けから始まった観察の最終報告は7月15日で、まだまだ絶賛栽培の途中! 同人誌を作りたいなと思ったときに、ついつい「いやでも、もっとまとまってから……。最後まで描けてから……」なんて先送りしてしまうこと、ありませんか。もちろんきちんと構成された分厚い作品も素晴らしいですが、好きになった勢いで対象を調べて、育てて、好きな人をもっと増やしたいから発表する! その熱さもとても素晴らしいものだと思います。
好きになった1歩目を、臆さず共有していくこと……ちょろぎの花言葉通り「楽しい人生」「驚き」、そんな気持ちを感じるご本でした。
今週の余談
ご本ではちょろぎの形のお菓子や、ちょろぎを生産している方の紹介、作者さん自作のちょろぎをモチーフに小物も掲載されています。くるくるころころした形は、これからどんどん広がっていくかもしれませんね。
みさき紹介文
公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
関連記事
クイズ番組の答えになることが最も少ない都道府県はどこ? 12番組を1年間調査した同人誌が趣味の塊
きっかけは「数えてみたくなった」から。もし動物たちが文明を持ったら 独自の進化を遂げた“空想上のビーバー”を描く同人誌『ビーバー建築史』
妄想がはかどる。“推し”との別れ、どうやって乗り越えましたか? 気持ちを整理したいあなたに寄り添う同人誌『R・I・P』
お別れの、その先のお話。マンガ家が描く“秀吉愛” 同人誌『あつまれ!太閤の沼』を読んで秀吉の魅力に沈みたい
豊臣秀吉で卒論まで書いてしまうほどの秀吉愛。“テレポートするナメクジ”を追った5年間 調査の内容をまとめたレポマンガに興奮を隠せない
104ページという力作。「10年後には朽ちるものを100年後に延ばす」 博物館の裏方描いた漫画が驚きの連続
『ただいま収蔵品整理中!Vol.1』『ただいま収蔵品整理中!金属保存編』をご紹介。アフリカで初音ミクのライブをやってみた 一人の教師が実現させた異国の”ミクライブ”
今回は初音ミク愛にあふれた『Miku in Africa』をご紹介。決してひと事ではない? 同人誌『夜10時カギを忘れて家に入れず初めてカプセルホテルに泊まった話』
忘れたと確信したときのドキドキ感……。全国各地の“恐竜像”を1冊に 220カ所ものスポットを紹介した「日本全国恐竜公園ガイド」にワクワクする
そんなところにもいるの!?こんなの待ってた! アメコミの効果音を集めた辞書がマニアックすぎて心くすぐる
今週はサークル「FANDOMAIN」さんの同人誌「アメリカンコミックス効果音辞典 スーパーヒーロー誕生から70年代まで」をご紹介。国体初のマスコット”未来くん”を小説に 同人誌『古都こと奇譚』は京都を舞台にしたキャラクターたちの物語
皆さんの町にも、人気を博したキャラクターがきっといるはず。炎の揺らめきと溶けた金属 職人自ら撮影した鋳物製造の写真集『滴る金属』
こだわりが詰まってる。“お江戸のコミック”を現代語訳 同人誌『黄表紙のぞき』が江戸文化の扉を開く
難易度の高かった「くずし字」を読みやすく。これまで撮った「片手袋」の写真は4000枚超 築地に通って約20年、“片手袋研究家”による同人誌が奥深い
趣味、ここに極まれり。理学部生だったあの頃の自分に伝えたい 作者の後悔から生まれた同人誌『理学部生を手伝うイモリ』
イラストはかわいいけど中身はマジ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
娘が子猫を保護→ある日おなかが異様にふくらみ、病院へ連れて行くと? 「貴重な経験」となった診察結果に驚き
庄司智春、“夫婦格差”を表す1枚の写真に共感続々 「あるだけマシですよ!」と哀愁漂う反響も
ちいかわデザインのおくすり手帳を開いたら……? “まさかの中身”に衝撃走る「絶対に笑ってはいけない」
“鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
「ボッタクリにも限度ある」 FFイベントで売店の“焼きそば”めぐり騒動 運営謝罪「スタッフが半ばパニックに」
「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
「ちょっと緊張してるパパ」ギャル曽根、夫が第3子を抱く“顔出し”ショットが幸せの極み 「素敵な写真」「ちっちゃーい」
「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
- 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
- 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
- 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
- ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
- 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
- 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
- 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
- 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
- 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
- デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
- 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
- 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
- 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
- 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
- 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
- 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
- “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
- 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
- おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
- 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」