シギチってどんな鳥? “野鳥天国”を旅する同人誌『九州北部 鳥見旅行記』司書みさきの同人誌レビューノート

鳥を探しに、旅に出てみませんか?

» 2022年11月06日 12時00分 公開
[みさきねとらぼ]
同人誌 本棚 図書館 司書 コミケ

 朝、静かな時間帯に鳥の声が聞こえることがあります。あのさえずりの主はどんな姿かな? いつもこの時間にやってくるのかな? とふわりと興味を持ってみても、いつのまにか慌ただしい日常に紛れてしまったり。しかし、今回の同人誌なら! 鳥の姿をたっぷり追っていく旅路をじっくり楽しむことができます。

今回紹介する同人誌

『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』A5 40ページ 表紙・本文カラー

著者:のとりや、でこぱち商店


同人誌『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』 すっきり青系の背景にいろんなかわいい姿が

シギチってどんな鳥? カササギはどこにいる? 鳥を見に行く旅に出る

 このご本には「シギチ」や「カササギ」を見るために、お二人の作者さんが2021年4月に九州を旅した様子がまとめられています。なお、シギチとは、野鳥のシギ、チドリを指す言葉のことで、渡り鳥であるシギやチドリは春と秋に日本にやってきて、干潟や海岸、河原や田んぼでも見掛けることができるのだそうです。広い干潟を有する九州の有明海には1万羽を超えるシギチたちが来訪、さらに九州北部はカササギの生息地でもある“野鳥天国”なんですって。シギチ大好きなのとりやさんと、カササギ大好きなでこぱち商店さんは、お二人で現地を見に行くことに。

同人誌『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』 対象について分かりやすく解説

鳥と土地をイラスト、マンガ、写真、テキストで紹介

 そういえば、シギとチドリの2種類がまとめて「シギチ」と呼ばれているってことは、よっぽど一緒に居るのでしょうか。姿も似ているのかな? とページをめくっていくと、シギチがどんな鳥たちか説明されていました。ずいぶん遠くから飛んでくるんだなぁ……あっ、シギ科とチドリ科、それぞれいろんな種類がいるんですね!? と、「シギチ」と一言にまとめられていた中の多様さが、愛らしくもすっきりとまとめられたイラストでひもとかれます。

 そんな解説を皮切りに、ラムサール条約登録湿地3カ所を巡った様子が紹介されていきますが、干潟で見た具体的な鳥のこと、鳥と出会った時のこと、干潟の性質などなど、見逃せない旅のあれこれがページ内に詰まっているんです。その紹介方法も、写真たくさん、イラストはもろちん、文字での解説もあり、マンガも織り込まれ、さらに来訪した地の周辺の観光スポットにも言及……と、紙面のバラエティーさがとっても楽しいです。お二人それぞれの観点や表現方法が、一冊の中で行き来することで多彩な魅力が生まれるのは、どことなく、いろんな種類の鳥が干潟で共に過ごしているのに似ているような……。そんな印象すら受けるにぎやかさです。

同人誌『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』同人誌『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』 こんなにも鳥たちが集っているとは。心和む一瞬も見逃さない1コマがかわいい

見つける楽しさ、感じる楽しさをほがらかに

 とにかく鳥たちがたくさん! とその豊かさを堪能しながら、一方では見られなかったときでも、このご本ではずいぶんと面白そうなんです。湿地を歩いたときの触感、耳にする鳴き声、時にはなんと「お目当ての鳥に出会えなかった」スポットの紹介も。せっかくはるばるやってきたのに、目的のものに出会えなかったらがっかりな気持ちを引きずってしまいそうですが、お二人の足取りは軽やかに見えます。

 かわいい鳥がやってくる地を歩き、空を仰ぎ、時に地面に寝っ転がって、その場を体感していく様子は、現地に行ったからこその臨場感。野鳥の愛らしさと同時に、鳥たちがやってくる場所を人も一緒に楽しめる、それってうれしいことなんだなぁという気持ちがふつふつと湧いくるご本でした。

同人誌『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』 寝っ転がって待つお姿もなんともいい味わい!

サークル情報

Twitter:のとりや(@notoriyabird)、でこぱち商店(@decop_WC

入手できる場所:でこぱち商店

次回イベント参加予定:デザインフェスタ(11月19日、でこぱち商店のみ出展予定)、博物クリスマス(12月10日〜11日、両者出展予定)


今週の余談

 今回のレビュー本『九州北部 鳥見旅行記 -春のシギ・チドリ・カササギ観察-』は現在のところ在庫に余裕はアリですが、今後の増版予定はナシとのお話でした。ご本の旅の季節は春なので、いま入手して次のシーズンに備えるのも良いかもですね。

みさき紹介文

 図書館司書。公共図書館などを経て、現在は専門図書館に勤務。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。

関連キーワード

同人誌 | 図書館 | コミケ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」