20年ぶりにコミケにサークル参加したら…… アラフォー作者による“過去と現在”をまとめた同人誌が興味深い:元司書みさきの同人誌レビューノート
まるで異世界に転生したみたいに感じたそうです。
カレンダーが12月になりました。慌ただしく過ぎていく毎日ですが、振り返ってみれば年月が積み重なっていたり。今回の同人誌は、長いときを経て復帰した趣味の世界の変化にスポットを当てたご本です。
今回紹介する同人誌
『アラフォー同人女が20年ぶりにコミケにサークル参加したらほぼ異世界転生だった件 完全版』A5 44ページ 表紙カラー、本文モノクロ
著者:のみぞう
20年ぶりに復帰した同人誌制作と即売会のギャップをレポート
もともと作者さんは思春期にアニメやゲームの同人誌を作っていたとのこと。その後、同人誌制作の活動から離れていたけれど、近年になり技術系の「情報・評論」と呼ばれるジャンルで約20年ぶりに本を作ることに。
久しぶりに戻ってきた同人誌制作、同人誌即売会の現場はすっかり様子が違っていて、それはまるで異世界に転生したよう……! という驚きを感じたそうです。それをnotoの記事にまとめたところたくさんの方に伝わり、このままではもったいないと加筆修正を加えてご本にされたのがこの同人誌です。
ご本の構成は、作者さんご自身のご紹介と、1990年後半ごろ、2000年代初頭と3部に分けて、あらためて振り返ってみたら当時はこんなことやってたね、現代はこんなことになっているよ、というのをエッセイのように楽しくレポートされています。
見やすさ抜群で、がんばってきた過去と便利を使いこなす今を知る
イラストがたっぷりの便箋に返信用の切手を差し込むために切り込みを入れて使ったこと、申込書を入手してから実際に申し込むまでがちょっとしたタイムアタック気分だったコミケの申込書セット、「今からFAXで送るから!」と事前の告知を受けて電話機の前で待っていた頃、テレホタイムと同盟リンク……、あの時代を体験してきた人にはピックアップされるあれこれのどれもに「そうそうそう」とうなずいてしまう事柄がてんこもりです。さらにそこに現代の便利さについてが解説され、懐かしさだけでなく、変わってきた部分についてが面白く読み進められます。
ご本は語り掛けるような文章を主としつつ、すぐ横にはツッコミ的な役割も果たす注釈のスペースが広めにとってあります。ポイントになるところはしっかり太字、読みやすいフォント、差し挟まれるイラスト……この洗練されたページ構成、本づくりが見やすさ抜群なんです。するすると読める文章と見せ方は、作者さんのこれまでのキャリアの確実な積み重ねの成果でしょうか。このご本づくりによって「こうやってがんばってたなぁ」という過去の振り返りと、「便利になってうれしい!」な現代を楽しんで知ることができました。
オタク活動を支える通信と交流。個人のゆらぎを記録に残す面白さ
ご本はあくまで作者さんの体験である旨が書かれていますが、それ故の揺らぎも読者にとっては面白いところかもしれません。多くの人が体験しているあるあると、個人目線ならではの小さな差異が同時に掲載され、本になっていることで大切な記録になっていると思います。
同人誌にまつわる活動にスポットを当てる際にはさまざまな年代とアプローチがありますが、こちらのご本でははっきりと近年の20年を主題に掲げている点と、実は内容のいずれにも「通信と交流」という観点があるところが特徴的ではないでしょうか。同人誌の制作においてデジタルで原稿を書くことができるようになり、データの入稿が当たり前になったこと、即売会のカタログは冊子やCR-ROMからオンラインで見る環境に変わり、そして個人間のやりとりも手紙や定額小為替から、FAXを経てインターネットとネットショップへ……その時代ごとの通信や環境に適応しながら交流を成し遂げてきた姿に、表現したい、伝えたいと思って活動するときの衝動と熱意をたどる面白さを感じるご本です。
今週の余談
なつかしい体験と現在への進化を読んで、ここからまた頑張ろう、という気持ちがふつふつとしてきました。冬に向かって……みなさまお体大切にしつつ楽しいことに励んで行きましょう……!
みさき紹介文
公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
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