広島の名物幕の内駅弁「もみじ弁当」の製造に密着:広島「もみじ弁当」(1100円)
もみじ饅頭〜だけでなく、長年販売される駅弁も広島名物。おいしそうなもみじ弁当の製造現場に潜入しました。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
広島県の県の木「もみじ」。全国的には1980年代の漫才ブーム以降、宮島土産の「もみじ饅頭」が有名になりました。合わせてこの時期、国鉄(当時)も、広島県内で運行される一部の電気機関車に「もみじ」をイメージしたカラーリングを採用、先ごろまで活躍しました。そして、広島駅で長年にわたって販売されている幕の内弁当も、「もみじ弁当」と言います。今回は、広島が誇る「もみじ弁当」の製造に密着いたしました。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第34弾・広島駅弁当編(第1回/全6回)
久しぶりに交通機関や観光地が賑わった2022年の大型連休。全国の新幹線や特急も、多くの方が利用されたようです。例年、この時期の人出で全国上位に名前を連ねるのが「ひろしまフラワーフェスティバル」。第45回を迎えた今年(2022年)は、規模を縮小しながらも開催されました。加えて、鯉のぼりが空を泳ぐ5月は、プロ野球のカープも上昇気流に乗っていきたい時期。今回の「駅弁膝栗毛」は、広島のまちを訪ねました。
広島駅から芸備線のディーゼルカーに1駅揺られてやって来たのは、広島を拠点として山口から福岡まで、西日本エリアの駅弁を幅広く手掛ける「広島駅弁当株式会社」です。明治34(1901)年創業の中島改良軒をはじめとした5社が、戦時統合によって合併し、誕生しました。駅弁膝栗毛の恒例企画「駅弁屋さんの厨房ですよ!」の第34弾は、こちらの「広島駅弁当株式会社」に注目してまいります。
製造風景を見せていただいたのは、広島の人気幕の内駅弁「もみじ弁当」(1100円)です。こちらの駅弁は、大量に製造する駅弁でありながら、“手作り感”を追求するため、東京・浅草や日本橋に料亭を構えていたお店が作る弁当をヒントに、研究を重ねて生まれたと言います。パッケージには、広島県の県の木でもある「もみじ」が描かれていて、広島ならではの旅情を感じさせてくれます。
現在の広島駅弁当の本社工場は平成6(1994)年に稼働を始めました。西日本エリアの弁当工場では屈指の規模を誇り、1日最大5万食を製造することも可能だと言います。駅弁はもちろん、さまざまなケースにおいて、最大300種類もの弁当を製造する日もあるそう。訪れた日、「もみじ弁当」のお隣の製造ラインでは、新型コロナウイルスの療養施設で、療養されている方に向けた弁当が製造されていました。
「もみじ弁当」は、まず俵型に成形された白いご飯から盛り付けられていきます。広島駅弁当には、ご飯の蒸らしまで約60分で炊くことができる自動炊飯システムがあり、主に深夜帯に稼働していると言います。白いご飯の他、味付けご飯などの弁当もあるため、ときには100種のご飯を炊き分けることも。米は、広島駅弁当が精米から炊飯を担う第3セクターを立ち上げた時期から、広島県産「あきろまん」を使用しているということです。
白いご飯、煮穴子の押寿司に続いては、かれいの西京焼き、蒲鉾、だし巻き玉子など、幕の内弁当の“三種の神器”をはじめとしたおかずが、手際よく盛り付けられていきます。広島駅弁当では、揚げ物・焼き物・煮物をはじめ、多くのおかずが自家製で作られているとのこと。これに広島菜炒めが入ると、あとはデザートの「大石餅」を入れるだけですね。浅野家の本家がある広島に続く、忠臣蔵の大石内蔵助にちなんだこしあんのお餅です。
最後にセロファンを載せて、紙蓋をしたら「もみじ弁当」の完成! 広島駅の売店などへと出荷されていきます。広島駅弁当では、最大300種もの弁当を作ることもあるため、製造工程に間違いがなく、ロスを減らすことができるように、綿密な計画を立てて弁当を作っているとのこと。勤続50年のベテランから海外の技能実習生まで、多くの人に支えられて広島駅の駅弁は作られているのです。
【おしながき】
- 白飯(広島県産あきろまん使用)
- 煮穴子の押寿司
- かれいの西京焼
- 浜の松茸かまぼこ
- 出巻玉子
- 若鶏の照煮
- 煮物(こんにゃく、里芋、筍、椎茸、ふき、人参、高野豆腐)
- さつまいもの甘煮
- 広島菜油炒め
- 大石餅
登場以来、リニューアルを重ねながら作られている「もみじ弁当」。ご飯少なめが喜ばれる昨今、白飯の俵型ご飯4つに穴子の押寿司1カンを加えることで、量を抑えつつ、2つの味のご飯を楽しめるようになっているのが嬉しいですね。一緒に脂がのったかれいの西京焼きや、しっかりだしがしみ込んだ味わい深い煮物をはじめ、バラエティ豊かなおかずをいただいていけば、あっという間に完食です。
広島県内の山陽新幹線を九州新幹線直通の「さくら」号が駆け抜けていきます。山陽新幹線は、50年前の昭和47(1972)年に岡山まで開業し、その3年後、博多までの全線が開業しました。広島を拠点とする広島駅弁当は現在、新山口駅や博多駅の駅弁も手掛けている他、駅弁だけでなく、さまざまな食にまつわる事業を手掛けています。次回からは、広島駅弁当のトップ・中島和雄代表取締役に、たっぷりとお話を伺ってまいります。
(初出:2022年5月16日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
おすすめ記事
関連リンク
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.
-
刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
-
「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
-
友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
-
後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
-
毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
-
「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
-
「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
-
余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」