■これを待っていた!熱狂的歓声で迎えられた「ゼルダ」
■2004年5月14日
どこまでも続く広大な平原。そこを疾駆する馬に乗った剣士。夕日を背景に迫り来るモンスターの群れ……。任天堂メディアブリーフィングの会場に集まった人々は,いったい何の映像が流れているのか,まったく分からなかった。と,馬にまたがる人物の姿が一瞬だけ写る――緑の衣服と背中の剣,そして盾に刻まれた紋章。その瞬間会場は大歓声に包まれた。
「ゼルダ伝説」最新作は,前作「風のタクト」とはうって変わり,「時のオカリナ」の延長線上にあるリアル路線に立ち戻った。なぜ「風のタクト」で切り開いたトゥーン調のデザインではないのか? これは誰もが抱く疑問だろう。衝撃の映像公開から一夜明けたE3初日。宮本氏と青沼氏の会見は,やはりこの話題から幕を開けた。
新作のリンクのデザインについて宮本氏は次のように語る。「リンクのデザインが変わったのは,そうしてほしいという人がたくさんいたことも一つの理由です。前作『風のタクト』を作ったときは,子供のリンクを主役にしたいと思ったんですね。で,子供のリンクが生き生きとして,ゲームのアイデアに一番適したものは何かと模索した結果,あのトゥーンシェードになったんです。ですが,その当時から『じゃあ16歳になったリンクは,どうしよう?』というのが課題ではありました。ですから「風のタクト」が終わったあとも,いくつものモデルを作っていきました。それで落ち着いたのが「時のオカリナ」のリンクに近いものだったというわけです」
■ゼルダの生みの親である宮本茂氏と,現在のゼルダシリーズに携わる青沼氏。青沼氏は先のGDCで「ゼルダ」と「ちゃぶ台返し」について講演した。たしかに,「風のタクト」のデザインから一転,今回のリアル路線はまさに「ちゃぶ台返し」
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■リアルな等身で生まれ変わったリンクのデザイン。基本的なデザインは,N64版「時のオカリナ」の頃のものを継承している
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筆舌に尽くしがたいほどに壮麗な「ゼルダ」の最新映像だが,当然のことながらムービーなどではない。それどころか,リアルタイムポリゴンによるデモシーンですらないと言うから驚きだ! 青沼氏によれば,「今回公開された映像は,すべてプレイヤーがコントローラを握ってプレイした様子をVTRに収めたもの」だという。
今回の映像が実際にプレイヤーが動かしたゲーム画面だということは……。「現在,そういう開発状況だということです。今後はそれらを練りこんでいく過程に移ります」と青沼氏。実際にユーザーの手に届くのもそう遠い未来ではなさそうだ。
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■「時のオカリナ」の頃から「馬に乗ったリンクに剣で戦わせたい」というのが宮本氏の要望にあったとか。「時のオカリナ」では,技術的な問題から実現しなかったが,今回ようやく念願かなって馬上で剣を振るうリンクが実現した
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■N64「時のオカリナ」に登場したハイラル城を思わせる城門。上空に浮かぶ月や広大な平原,地下迷宮の構造なども「時のオカリナ」とイメージが重なる。取材陣からは,今度の新作と「時のオカリナ」との関連性を指摘する質問も投げかけられた
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さて,気になるサブタイトルだが,「遊んでもらえる状態になるまでヒミツ」(青沼氏)だとか。一方の宮本氏からは,「彼らは完全主義者だから,ぜんぶできるまで見せようとしないんですね。あと,E3というのは今年のビジネスのためのものですからね。無理やり出そうと思えば,見せられる状態なんです」と,かなり開発が進捗していることをうかがわせる発言も。
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■画面にはダイナフォスとおぼしき敵キャラクターも。皮膚がリアルになって爬虫類度もアップ
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最後に,宮本氏からの希望として「ゼルダは18年前から同じアイデアを何度も使ってきている。それは必要なものだけど,謎解きとかで今度の絵に合ったユニークなものも盛り込みたいですね」とも。今度の新作は,たんに美麗になっただけではない新機軸が盛り込まれそうだ。
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