第19回:仲間といっしょに遊べば楽しさ倍増! 同時プレイはなぜ面白いのか?:なぜ、人はゲームにハマルのか?(1/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の19回目は、誰かと一緒にゲームをする楽しさを解明してみます。
人はなぜゲームにハマルるのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回はちょっと趣向を変えて、2人以上のプレイヤーがいっしょにゲームを遊べる同時プレイのシステムをテーマに取り上げます。
1人で誰の力も借りずに黙々とハイスコアを狙うのもひとつの楽しみ方ですが、友人同士で力を合わせながら敵を倒したり、ゴール地点を目指すのもビデオゲームの大きな醍醐味。では、同時プレイシステムの存在によってなぜ我々は夢中になって遊んでしまうのでしょうか? その歴史を調べてみると、そこには開発者たちが編み出した画期的なアイデアや並々ならぬ創意工夫の跡が随所にちりばめられていることが分かります。
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」バックナンバー
- 第18回:「待って、もう1回!!」――いつの間にかゲームがやめられなくなるフシギな呪文PART2
- 第17回:これ以上ないプレイヤーへのご褒美!? 極上の快感を与えてくれるエクステンドの演出
- 第16回:ゲームは見た目がすべて!? ひと目でプレイヤーを虜にするデモ画面の工夫
- 第15回:「待って、もう1回!!」 いつの間にかゲームがやめられなくなるフシギな呪文、「コンティニュー」のスッゴイ仕掛け
- 第14回:これならサルでも遊べちゃう!? いつの間にかゲームがうまくなってしまうヒミツの仕掛け
- 第13回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ(つづき)
- 第12回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ
- 第11回:開発者VSプレイヤーの知恵比べ? あの手この手で編み出されたボーナス得点システムの数々
- 第10回:スコアアップ&劣勢挽回のチャンス! ゲームがますます楽しくなるボーナスステージ
- 第9回:テクニック・イズ・スコア! プレイヤーに「ゲームがもっとうまくなりたい!」と思わず夢中にさせてしまう得点アップの仕組み
- 第8回:ステージクリアの快感をさらに高める、ボーナス得点のアイデアいろいろ
- 第7回:ハイスコア更新は常に命がけ! 「ボーナス獲得=ハイリスク」の法則
- 第6回:ハラハラドキドキ感を演出するゲームサウンドの魅力
- 第5回:ゲームをより面白くする「4ステージ1セットの法則」
- 第4回:ピンチの後にはチャンスあり! プレイヤーへの爽快感を高める「逆転の法則」
- 第3回:「なぜ、ゲームではステージ数の表示方法にこだわるのか?」
- 第2回:「なぜプレイヤーは“ハイスコア”に夢中になるのか?」
- 第1回:「なぜ、プレイヤーはマニュアルを読まなくてもゲームを遊べるのか?」
味方同士で「コンビネーション技」を編み出せるのが楽しさの原点!
初期のビデオゲーム、とりわけアーケードゲームでは2人以上で同時プレイが可能なゲームは少数派でした。当コラムでもたびたびご紹介している往年の大ヒット作、例えば「スペースインベーダー」や「パックマン」、「ゼビウス」などはいずれも1人で遊ぶゲームです。
実はこれらのゲームには2人プレイモードもちゃんと存在するのですが、同時にプレイすることはできません。ご存知ない方のために説明しますと、2人プレイモードでスタートすると最初に1プレイヤー側だけがゲームを遊び、2プレイヤー側は1プレイヤーがミスをした後に順番が回ってきてプレイが可能となるシステムになっていました。つまり、2人プレイモードとは言っても1人ずつ交互に遊ぶだけで、実際は1人プレイのそれとまったく同じ仕組みだったのです。言い方を変えれば、当時は同時プレイのシステムを搭載していただけでも個性が引き立ち、大きなセールスポイントになっていたということになります。
昔のアーケードゲームにおいて、同時プレイの楽しさを知らしめたタイトルの代表例はやはり、1983年に任天堂が発売したアクションゲーム「マリオブラザーズ」になるでしょう。1プレイヤーがマリオ、2プレイヤー側はルイージを交互ではなく2人同時に動かして遊べるようにしたことがヒットの大きな要因となりました。マリオが敵のカメやカニをひっくり返したら、パートナーのルイージがすかさずこれをキックして倒すなどといった要領で、2人のコンビネーションがうまくハマッた時は気分爽快です。また、ボーナスステージでは2人で手分けしてコインを集めることによって、1人プレイ時よりもはるかにパーフェクトボーナスが取りやすくなるのも大きなメリットです。
同じく、カプコンが1989年に発売したアクションゲームの「ファイナルファイト」も、2人同時プレイを可能にすることでゲームの楽しさを広げた好例です。行く先々のステージで次から次へと現れる敵たちを、「俺はボスをやっつけるから、お前は後ろにいるザコ敵を始末してくれ!」などと声を掛け合いつつ、作戦を考えながらプレイする楽しさは格別です。本作のようなベルトアクション(あるいは格闘アクション)は同時プレイシステムとの相性がすこぶる良好で、1987年にテクノスジャパンが発売した「ダブルドラゴン」、1989年にセガが発売した「ゴールデンアックス」などの同時代に登場した作品も、やはり2人同時プレイがとても楽しいゲームになっていました。
2人だけでなく、3人以上のプレイヤーが同時に遊べることで面白さを増したタイトルも少なくありません。セガが1986年に発売したアクションゲームの「カルテット」や、1985年にアタリ(※日本ではナムコが輸入販売)が発売した「ガントレット」は最大4人まで同時プレイが可能で、しかも各プレイヤーごとに使用するキャラクターはそれぞれ性能が異なるため、誰を選択するかによってプレイ中の戦略も必然的に変わることでゲームの奥深さがさらに増す仕組みになっていました。さらに時代が進むと、KONAMIが1989年に発売した「クライムファイターズ」、カプコンが1992年に発売した「天地を喰らうII」の両ベルトアクションゲームでも、それぞれ最大4人および3人まで同時プレイができるにようになり、その面白さを一段と引き立てていました。
※PS2版「カプコン クラシックス コレクション」を使用
(C)CAOCOM CO., LTD. 2005,2006,
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.
家庭用ゲームでも、同時プレイシステムの導入によって面白くなったタイトルは古くからたくさんあります。
分かりやすい例としては、任天堂が1984年に発売したファミリーコンピュータ用ソフトの「テニス」が挙げられるでしょう。本作にはシングルスの他にダブルスモードもあり、2人でペアを組んでCPUチームと対戦できるのがとても楽しいゲームになっていました。ほかにも、同じく任天堂が1984年に発売したアクションゲームの「クルクルランド」や1985年発売の「バルーンファイト」「デビルワールド」、あるいはアスキーが1985年に発売した「アストロロボ SASA」なども、2人で力を合わせてプレイするのが面白い作品です。
※いずれもファミリーコンピュータ版を使用
(C)1984 Nintendo
(C)1985 ASCII (C)1983 MTL
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