幻の伊勢海老駅弁「波の伊八弁当」に託した、作り手の思いとは?(3/3 ページ)
【おしながき】
- 伊勢海老ご飯
- たこめし 枝豆 生姜
- さんが焼き
- ひじき煮
- 煮物(椎茸、人参、里芋)
- しば漬け
―「波の伊八弁当」、どのようにすれば買えますか?
越後貫:「波の伊八弁当」は、完全予約制で原則「5個」からとさせていただいています。ただ、伊勢海老を半身使っていますので偶数個でご注文いただけると、なお有難いです。現状、大きな病院の方と製薬会社さんの方が会食される際などにご用命いただくことが多いですが、じつは多くの方に房総の伊勢海老を召し上がって欲しいという願いを込めた駅弁です。より多くの方にお求めいただけると、(大鍋で調理することができますので、)伊勢海老はよりうま味が増して、美味しく味わえます。
外房の海を眺めて、房総の味覚が詰まった駅弁を!
―越後貫会長お薦め、「南総軒」の駅弁を美味しく味わえる車窓は?
越後貫:やはり、海を見ながら召し上がっていただくのが美味しいと思います。ぜひ、安房鴨川から50周年を迎えた特急「わかしお」に乗っていただいて、外房の海を眺めて駅弁を味わっていただきたいですね。外房線はトンネルも多いですが、安房鴨川から次の安房天津にかけて、そして鵜原から勝浦・御宿にかけては、割合、海が見えると思います。
―鉄道150年、駅弁屋さんとして、これからどう盛り上げていきたいですか?
越後貫:地域の宝を見つけてしっかり守りながら、“力のある駅弁”を作っていきたいです。例えば、房総では「ひじき」は日本一と言ってもいい品質のひじきが獲れます。駅弁にも必ずそういったものを入れて、ご当地性を打ち出していく。実際、「南総軒」の駅弁には、ひじきの煮物を入れています。その上で、物語性を持ったり、ときには自家製にこだわった駅弁を作ることが、お客様の心にも届くのではないかと思います。
現在、安房鴨川駅における駅弁の販売は、週末のNEWDAYSのみとなっていますが、「南総軒」に直接予約をすれば、週末以外の日も購入可能です。名物の「さんが焼き弁当」や人気の「さんが焼きおにぎりサンド」に使われるさんが焼きも、1枚1枚丁寧に手作りされています。その意味では、古き良き駅弁屋さんのスタイルが、千葉・鴨川には、令和のいまもしっかり息づいています。
海上交通が主流だった房総半島に、昭和初期、陸上交通という新たな道を開いた鉄道。その房総の鉄道に50年前、特急「さざなみ」「わかしお」は、東京駅直結という新たな魅力をもたらし、東京都心からゆったり2時間で豊かな自然に出逢える旅を実現しました。千葉の美味しい米、酒、魚を味わいながら、雄大な太平洋と緩やかな山並みに癒されに、改めていま、房総特急の旅を楽しんでみませんか。
(初出:2022年8月22日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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