プリキュアで10年以上信じられている“7つのウワサ”を検証する:サラリーマン、プリキュアを語る(2/3 ページ)
プリキュア7つの流説
プリキュア7つの流説
- プリキュアは半年で終わる予定だった
- 親からクレームが来て水着が禁止になった
- 銀魂のプリキュアパロディーで東映アニメが大激怒した
- プリキュアは成人男性もターゲットになっている
- ラスボスと結婚したプリキュアがいる
- 「アナ雪」ブームで「Go!プリンセスプリキュア」が作られた
- 映画でプリキュア同士が戦ったら子どもが泣いた
プリキュアは半年で終わる予定だった
「プリキュアはもともと半年で終わる予定だった。人気が出たから1年続いた」という流説があります。
ストーリー的に半年でプリズムストーンを集め終えたことがその証拠である、とされています。
しかしこれは正確ではありません。プリキュアはもともと1年の予定であったことは何度も各媒体で触れられ、例えばかつて刊行されていた『プリキュア新聞 2014年春号』で鷲尾プロデューサーは下記のように語っています。
04年の第1作「ふたりはプリキュア」は、1年やりましょうという話でした。青息吐息でいくくらいなら、物語上は半年で全部解決するくらいで始めて、できるようならその先、考えましょうと。だからプリズムストーン7つを1年で集める話が、半年で集めきっちゃったんですよ。そこから先はストーリーを作っていくのに必死で。
日刊スポーツ新聞社『プリキュア新聞 2014年春号』鷲尾天インタビュー
「とにかく前半から盛り上げて突っ走ろう」という思いが物語を半年で一段落させてしまい、その結果として「半年で終わる予定だった」という流説になっていったようですね。
【結論】
「ふたりはプリキュア」は、最初から1年放送される予定だった。
親からクレームが来て水着が禁止になった
「フレッシュプリキュア!(2009年)の蒼乃美希の水着姿に保護者(PTA)からクレームが来て、以降プリキュアでは水着が禁止になった」。これも良く聞きますよね。
しかし、これも間違いです。
プリキュアは確かに一時期かたくなに水着表現をしなかったのですが、それは初代「ふたりはプリキュア」のときに、当時の鷲尾プロデューサーが子どものためを思い自主規制した結果であり、親からのクレームによって外圧で水着がNGになったというわけではありません。
【結論】
プリキュアの水着は、子どものことを思い「自主的に」表現をしなかった時期があった。クレームによる外圧でNGになったわけではない。
銀魂のプリキュアパロディーで東映アニメが大激怒した
アニメ「銀魂」内で、プリキュアのパロディーを放送したら東映アニメに怒られた、という流説もあります。
一度ならず二度もパロディーにしたことで東映アニメ側や一部の声優さんが大激怒し、当時の銀魂アニメの監督、制作プロデューサーを本社に呼びだし「法的手段に訴える」と全員を土下座させた、というトンデモないものです。これも一部では固く信じられているようです。
これもソース不明な情報が面白おかしく語られており、明確な証拠はありません。銀魂アニメの関係者内では「これは大丈夫か?」「怒られないか?」などの議論は常にあったとはいい、その銀魂内での話に尾ひれがついて拡散されていったものと思われます。
そもそも、本当に訴訟沙汰に近い問題なっているのであれば、関係者が面白おかしく語るはずはありません。
プリキュアサイドの証言としては、書籍『プリキュアシンドローム』(幻冬舎、2012年)で当時の鷲尾プロデューサーと声優さんが「ふたりはタマキュアSilverSoul」に触れ、プリキュアのパロディーを好意的に捉えている旨の発言をしています。
鷲尾 「プリキュア」がこういうパロディをされるようになって驚いたんです。
前田 こういうパロディは多かったですよね。アニメの「銀魂」(第五十話「節目節目に気合を入れ直せ」)でも「ふたりはタマキュアSilverSoul」って。
鷲尾 ありましたね。「MaxHeart」と「Splash☆Star」の変身と必殺技シーンを混ぜたパロディ。しかもおばあちゃんふたりがやってるんですよ。
仙台 私はたまたま家でテレビを観てて、びっくりしたけど笑っちゃいました(笑)。
鷲尾 あそこまでやってもらえるのなら、パロディにされるほうは本望です。作品の認知度が低かったら誰もパロディをやってくれませんから、うれしいことです。
幻冬舎『プリキュアシンドローム!<プリキュア5>の魂を生んだ25人』(2012年)P320
そう。プリキュアのプロデューサーも声優さんもプリキュアのパロディーを怒っているどころか、喜んでいたのです。
【結論】
当時のプリキュアのプロデューサーは銀魂のパロディーに怒っているどころか、好意的に捉えていた。
プリキュアは成人男性もターゲットになっている
これも良く聞くデマの1つです。Google画像検索をすると19〜30歳男性が「プリキュアのコアターゲット」となっている謎の写真が出てきたりもします。
この写真はかつて自分が検証したところ「DVD販促用の資料」ではないかと結論づけました(右側に販売用のカードが映っています)。
つまり「プリキュアというアニメ自体のターゲットに成人男子が含まれる」のではなく、「プリキュアのDVD購買層には成人男子が含まれている」というだけなのです。
プリキュアは各媒体のインタビューや、東映アニメーションの株主総会などでも「子どもたちのためだけ」に作っていると明言しています。
ただ「大人の視点」を考慮していないわけではなく、プリキュアは「保護者の視線は考慮している」とも各媒体のインタビューで書かれています。
また、プリティストアで売られている周辺グッズには大人向けに作られているものも多々あったり、大人向けのイベントも開催されていたりもします。
この2つの概念「アニメは保護者(大人)を意識している」と「グッズやイベントは大人をターゲットとしたものもある」が合わさることにより「プリキュアは大人にも向けて作られている」という流説につながっていったものと思われます。
【結論】
大人もターゲットにしているのは一部のグッズやイベントだけで、アニメ自体は子どもと保護者がターゲットであると明言されている。
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