プリキュアで10年以上信じられている“7つのウワサ”を検証するサラリーマン、プリキュアを語る(3/3 ページ)

» 2020年10月22日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]
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ラスボスと結婚したプリキュアがいる

 ラスボスと結婚し、子どもを産んだプリキュアがいる。そんなウワサ話もあります。

 2018年「HUGっと!プリキュア」のラスボス、ジョージ・クライは未来の世界で最愛の人だった野乃はな(キュアエール)を失ってしまったために、過去に戻って時を止めようとしますが、その野望は打ち砕かれます。

 「最終回、未来の世界で赤ちゃんを産んだ野乃はなの夫は、そのジョージ・クライである」。実は、これも正確ではないのですよね。

 未来のジョージ・クライが夫であるというのは「そうにおわせる描写」が各所にあるだけで、「夫」と確定しているわけではありません。

 『HUGっと!プリキュアオフィシャルコンプリートブック』(学研プラス、2019年)では、シリーズ構成の坪田文氏が、「野乃はなの夫をはっきりと描かなかった」理由を語っています。

ヒーリングっど プリキュア アニメ ニチアサ 「HUGっと!プリキュア」(2018年)(画像はAmazon.co.jpから)

ちなみに、はなの夫をはっきりと描かなかった理由は?
坪田:SDと内藤Pの意向もありますが、観ればわかってもらえるかなぁと(笑)
『HUGっと!プリキュアオフィシャルコンプリートブック』(学研プラス、2019年)P91


 「はっきりと描かなかった」と明言されていますし、その理由はシリーズディレクター(監督)やプロデューサーの意向であったとしています。

 ヒントは出していますので後は視聴者の想像に委ねます、というスタンスですよね。断定はされていません。

結論

 野乃はなの夫は、ジョージ・クライとにおわせる描写があるだけで「断定」はされていない。誰だかは分からない。


「アナ雪」ブームで「Go!プリンセスプリキュア」が作られた

 当時大ブームだった「アナと雪の女王」に乗っかるため、お姫様モチーフの「Go!プリンセスプリキュア」が作られた。これも良く聞くウワサです。

 これは2015年の春映画「映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル」が「アナと雪の女王」に影響を受けて作成されたことから転じたものと思われます。

ヒーリングっど プリキュア アニメ ニチアサ 春のカーニバルはアナ雪の影響を受けていた(画像はAmazon.co.jpから)

 映画プロデューサーのギャルマト・ボグダン氏のインタビューにはこうあります。

それで、ダンスを企画の真ん中にする事を考えました。その判断は「アナと雪の女王」の大ヒットも背景にあります。
(中略)
でもそれを裏切るかのように「アナ雪」は日本語の歌でヒットした。それで企画を出す勇気が湧いたんです。
『プリキュアぴあ2015』(ぴあ、2015年)P14


 春のカーニバル時の最新のプリキュアは「Go!プリンセスプリキュア」でした。そこから「Go!プリンセスプリキュア」と「アナ雪」が結び付き、ウワサにつながっていったものと思われます。

結論

 アナ雪の影響を受けて作られたのは「映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル」。


映画でプリキュア同士が戦ったら子どもが泣いた

 「プリキュア同士が戦ったら映画館で子どもが泣いてしまった。以降プリキュア同士で戦うのはNGとなった」。

 これは「映画ふたりはプリキュアMax Heart2 雪空のともだち」での、洗脳されたキュアブラックとキュアホワイトがガチめの戦闘シーンを繰り広げたときのエピソードですね。

 これもネットなどで良く聞きます。これはどうなのでしょうか?

 実はこれは本当のようなのです。

ヒーリングっど プリキュア アニメ ニチアサ プリキュア同士が戦うこととなった映画2作目「雪空のともだち」(画像はAmazon.co.jpから)

 かつての幻冬舎webマガジン「実況野郎B-TEAM」内の加藤レイズナ氏と鷲尾プロデューサーの対談記事(現在は公開停止中)でその旨を話していました。

 対談記事中の発言を要約すると、

鷲尾「小さい女の子は、友達同士が喧嘩することをとても嫌がる事が判った」
加藤「映画館で子供が泣いてしまった」
鷲尾「プリキュア同士が戦う事は子供にとって良い印象は残らない」

などの発言が確認されています。

 プリキュア同士が戦ったら子どもが泣いてしまった、というのは事実のようです。

 鷲尾プロデューサーが男の子向けでよくある設定を女の子向けへ持ち込んだら喜んでくれるどころか拒否反応を示されてしまったようなのです。

 この出来事は鷲尾プロデューサーにも教訓となったようで、以降レギュラープリキュア同士が戦う描写は描かれないようになっていきました(最初から「敵」として出てくるプリキュアとは戦いますけどね)。

結論

 「プリキュア同士が戦ったら子どもが泣いた」は本当っぽい。


その他にも……

 プリキュアは16年以上も続いているため、さまざまなウワサ、流説が存在します。

 今回触れていないものの中にも、「スプラッシュスターは子どもに人気が無かった」(実は玩具が売れなかっただけで、子どもには人気があった)や、「プリキュアは親がお金を出すので、両親を悪者にしない」(している作品もある)など、まことしやかに語られるウワサが多々あります。

 それらの中には「真実」も「虚構」も入り乱れています。いずれ他のウワサも検証できれば良いな、と思います。

今月のプリキュア視聴データ

 今回から、東芝映像ソリューションの視聴データから生成した「ヒーリングっどプリキュア」の視聴データを記載していきます。

(この「視聴データ」は全国137万台以上の東芝テレビ<レグザ>から視聴データを収集したもので、ビデオリサーチ社のいわゆる「視聴率」とは取得方法や集計方法などが異なります)。

 「ヒーリングっどプリキュア」の関東広域(約55万台のレグザ)の視聴データは下記のようになっています(毎週の個別データから月平均を筆者が算出)。

ヒーリングっど プリキュア アニメ ニチアサ

(※ライブ視聴:生で見られた数、録画再生:録画で1回でも見られた数)

  • プリキュアは録画視聴よりもライブ視聴の割合が高く、生で番組が見られる「ライブ視聴型」の作品である
  • プリキュアのコロナ禍による再放送(4月26日〜6月21日)の影響により、視聴数、録画再生ともに若干減少してしまい、6月28日に本放送が復活してから若干数字を戻すものの、4月より低めの水準を維持しています

つまり再放送以降プリキュアを視聴する人は減ってしまい、再放送が「継続視聴」に悪い影響を与えてしまっていることが考えられます。


 ……などということが分かると思います。

※データは毎月更新していきます。


「ヒーリングっど プリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション


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